Abstract

急性出血性直腸潰瘍の止血困難例に対して,経肛門的直腸粘膜環状切除が有効であった症例を経験した.症例は81歳,男性.既往歴に糖尿病,慢性腎不全があり透析中であった.心筋梗塞を発症し冠動脈バイパス術をうけて入院中に下血を来した.大腸内視鏡検査にて歯状線直上から下部直腸に,全周性に多発する類円形,不整形潰瘍を認めた.ボスミン®ガーゼやスポンゴスタン®による圧迫止血の効果はなく,下血を繰り返し,多い時には1日2,000mlの出血を認めた.内視鏡的クリップ止血も無効で,経肛門的に縫合止血を行った.しかし,再度大量下血を来し,赤血球輸血の総量は36単位にも及んだため再手術を施行した.経肛門的に内肛門括約筋を温存しながら,直腸粘膜·粘膜下層を2.5cm幅で環状に切除した後,口側切除端と肛門上皮を縫合し,S状結腸に双孔式人工肛門を造設した.本術式は安全かつ低侵襲に行うことができる有用な止血術と考えられた.

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