Abstract

症例は64歳,女性で腹痛,下痢,口渇を自覚し前医受診した.血液生化学検査で膵酵素,HbA1cの上昇を認め,慢性膵炎の疑いにて精査加療目的に当院紹介となった.腹部造影CTにて膵頭部に直径25mm大の腫瘤を認め,膵癌が疑われたため同部位より超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診施行し,破骨細胞様巨細胞型退形成性膵管癌の診断となった.全身精査を施行し右乳癌,甲状腺乳頭癌の同時性3重複癌と診断された.右乳癌,甲状腺乳頭癌の進行度は低く,患者の予後規定因子となる退形成性膵管癌に対する治療を優先する方針とし,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.退形成性膵管癌は比較的稀で予後も非常に不良とされている.退形成性膵管癌を含む同時性3重複癌は本邦での報告例は過去に1例のみで非常に稀であり若干の文献的考察を加えて報告する.

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