結腸癌切除術機能的端端吻合による吻合部再発の１例と本邦報告例の検討

Abstract

症例は45歳，女性．前医で結腸癌に対し2003年にS状結腸部分切除術，2007年に結腸右半切除術が施行され，それぞれ機能的端端吻合（functional end to end anastomosis；以下，FEEAと略記）で再建されている．2008年７月，貧血の精査で，結腸右半切除時の吻合部の再発と，腫瘍の後腹膜穿通，腹腔内膿瘍を認めた．当科紹介となり，吻合部再発切除術，ドレナージ術を施行した．術後化学療法をしたが多発肝転移を制御できず，再発から12カ月目に死亡した．近年，結腸癌に対するFEEA後の吻合部再発の報告が増加しており，複数回再発の症例も報告されている．原因として腸管内遊離癌細胞の存在が指摘され，予防として吻合部腸管の清拭の有用性が指摘されている．自験例のような術後早期再発例の予後は不良で，FEEA施行の際，吻合部再発を念頭に入れた手技の確立，術後経過観察の工夫が必要である．