Abstract
早期離乳しためん羊につき,人工乳および育成用飼料による子めん羊の育成試験と,母めん羊の非繁殖期に,ホルモン剤を利用した季節外繁殖について試験を実施した.1. 早期離乳試験:早期離乳した子めん羊に人工乳および育成用飼料の給与量と期間について,多少異なつた方法で育成したそれぞれの区間には発育,健康状態とも差はなく,また,自然哺乳した子めん羊と比較した場合も差は認められなかつた.この結果から,子牛用人工乳は子めん羊育成用飼料として効率の高いこと,および給与については簡易な方法で行なつても良好な成績をうることがわかつた.2. 生後81日令以降の育成試験:人工乳および育成用飼料により育成したものと生後80日令まで自然哺乳したものを,90日間育成用飼料により育成した結果,1日当りの平均増体は早期離乳区の平均が192g,自然哺乳区は157gで早期離乳区がまさり,5%水準において有意差が認められた.3. 季節外繁殖試験:分娩後20日と25日離乳区および自然哺乳中の母羊について,ホルモン注射による季節外繁殖を実施した(分娩後34~100日).ホルモン注射による発情の誘起率およびその持続時間と受胎率についてしらべた結果,20日離乳区が最も良好であり,次いで25日離乳区,自然哺乳区の順となり,特に自然哺乳区は発情が微弱で持続時間も短かく,いずれも不受胎であつた.なお本試験で分娩した母羊9頭につき産後の発情を調査したところ,いずれも35~40日以内にふたたび発情し年内に妊娠した.以上の結果から,季節外繁殖する場合には早期離乳によつて,産後の回復と同時に母羊の体力を短期間に正常に戻すことが必要と考える.
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