表面修飾されたカーボンブラック粒子を用いた分散系レオロジーの非線形性

Abstract

表面処理状態の異なったカーボンブラック分散系の定常流粘度、動的粘弾性を円錐円板型のレオメータで測定した。カーボンブラック表面処理はシランカップリング剤にて行った。表面修飾の程度とレオロジー的性質との関係をカーボンブラック粒子の形成する凝集網目構造の変遷を考慮しながら検討した。粒子の表面処理が進行するに従い分散系の見かけ粘度は減少し、シアーシンニングの傾向が少なくなった。また動的粘弾性においては粒子の表面処理の進行にともない貯蔵弾性率の値は減少し、その周波数依存性が増加した。これらの現象は凝集構造の減少と関係がある。つまり表面修飾が進行するにともないシランカップリング剤中のフェニル基が粒子表面を覆い粒子間凝集を阻害し、かつ粒子表面の微細孔が閉塞されたことを示す。この結果として凝集網目構造は表面修飾と共に減少し、粒子の比表面積も減少する事となるが、余剰のシランカップリング剤は逆に粒子問の結合と構造形成とを促すため表面処理時間と粘弾性挙動との関係は不明瞭になる。