前向き降段および後ろ向き降段動作における前十字靭帯負荷の推定

Abstract

本研究の目的は，前向き降段および後ろ向き降段動作において前十字靭帯（ACL）負荷を推定し，その臨床応用について検討することであった．健常成人男性6名を被験者とし，課題動作は前向き降段および後ろ向き降段動作とした．筋電図情報を取り入れた最適化手法により筋張力を推定し，推定筋張力からACL負荷を推定した．後ろ向き降段動作におけるACL負荷ピーク値は，前向き降段動作と比較して有意に低値を示した（各々2.6±0.6 N/kg，3.2±1.0 N/kg；p＜0.05）．また，後ろ向き降段動作における前方剪断力のピーク値は，前向き降段動作と比較して有意に低値を示した（各々1.3±0.6 N/kg，2.4±0.8 N/kg；p＜0.05）．後ろ向き降段動作はACL負荷および前方剪断力を軽減可能であり，階段降段動作指導の選択肢のひとつに成り得ることが示唆された．