Abstract

クロロベンゼンの毒性とクロロベンゼンによって惹起される代謝応答が, 食餌中のメチオニン含量の変化によってどのように修飾されるかを検討した。ラットを2群に分け, 10%カゼイン飼料 (基本飼料) および0.3%のDL-メチオニンを補足した10%カゼイン飼料で4週間飼育した後, 0, 0.2, 0.5, または2.0mmol/kg body weightのクロロベンゼンを腹腔内投与した。基本飼料群ラットにおいては, 0.5mmol/kgのクロロベンゼン投与によって肝TBA値が有意に上昇し, 2.0mmol/kgの投与では6匹中4匹が投与後48時間以内に死亡した。飼料へのメチオニン補足は, 肝TBA値の上昇を軽減し, 全ラットを生存させるとともに, 0.5mmol/kg以上の投与の場合に肝湿重量の有意な増大を生じさせた。また基本飼料群では, メチオニン補足飼料群に比して肝グルタチオン合成活性が有意に高いにもかかわらず, 低い肝グルタチオン濃度しか認められず, クロロベンゼン投与48時間後のグルタチオン濃度にも変化がなかった。しかし, メチオニン補足飼料群においては, 肝グルタチオン合成はクロロベンゼン投与によって亢進し, 肝グルタチオン合成活性とグルタチオン濃度の上昇が生じた。以上の結果より, 10%カゼイン食という含硫アミノ酸の少ない食餌条件下においては, 肝グルタチオン合成系よりのシステイン要求が充足されていないために, クロロベンゼンのような肝グルタチオンを消費する化合物を負荷した場合に, 過酸化脂質生成にもとづく重大な障害の発生する可能性があると判断された。

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