Abstract

釧路市動物園では,北海道道東を中心に生息している野生タンチョウのレスキューを行っている。生息数および保護収容数の増加に伴い,限られた施設と人員配置のため,受け入れ制限(同時に2羽まで)を行いながら,先着順で,できるだけの治療を行うスタイルをとっている。保護収容を実施する環境省でも,野外で自活可能な傷病個体はできる限り収容しない方針としている。3羽目以降は,環境省の判断で野外経過観察もしくは釧路湿原野生生物保護センター(WLC)へ受け入れが検討される。治療を行った後,特に大きな損傷もない回復個体は,環境省リングを付けて放鳥される。人馴れの大きい人工育雛個体や飛翔不能個体は,飼育下繁殖群へ編入となり繁殖を目指す。ただし,肩関節や上腕近位での断翼個体は,ペアリング対象となりづらい。義足装着個体は,室内のある隔離ケージにて生涯単独飼育となる。起立不能個体・下半身麻痺個体は,ハンモック保定・強制給餌による長期介護飼育を実施する。釧路市動物園は多くの飼育ケージを持つとはいえ,特にペアリングに不向きな継続飼育個体の増加は,教育普及に活用する道を模索するとしても,問題となる。生息数増加や生息地拡大,生活スタイルの変化から,今後更に保護数増加と保護地域拡大が予測される。なんらかの根本的な改革を必要としているだろう。

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