Abstract

地震リスクが高まるなか,我が国の地震保険制度への期待はますます大きくなっている。というのも,地震保険は自助の保険でありながら,被災者の生活の安定に寄与することを目的とした公共性の高い保険だからである。その一方で,地震保険制度自体の持続可能性が危ぶまれているのも事実である。本論では,リスクコントロールの観点から地震保険制度を見直すことで,あらためて地震保険制度の位置づけと役割について検討する。まず,リスクコントロールによって経済的損失を減らしつつ被災者の生活を安定させるための制度的検討事項を整理し,(1)PML の抑制,(2)支払保険金総額の抑制,(3)地震保険制度の持続可能性と加入者ニーズの最大公約数の追及,について考察した。次に,一災害救済制度である地震保険制度が十分機能するためには,他の制度をうまく活用する必要があるとした。そのためには,官の役割として,耐震診断助成制度や耐震改修促進事業制度等を充実させることが,また,民の役割として,地震保険普及の一環として商品の多様性等の加入者ニーズに応えることが求められる。

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