Abstract

九州山地の中山間地域を対象に,1902年以降の土地利用変化パターンを解析し,同一流域内でみられた変化パターンの違いと,これを生じさせる要因を自然的立地条件および社会的な要因の両面から検討した.一ツ瀬川上流部のおよそ13000 haの流域において,1902年,1965年および1990年の地形図から当時の土地利用を把握した.その結果,調査域内で51パターンの土地利用変化が認められた.これらの変化パターンによって対象域を上流部と下流部に区分した.また,土地利用変化のパターンごとに立地選択性を選択度指数によって解析した.その結果,地形特性の異なる上流部と下流部で里山型土地利用の拡大,針葉樹人工林拡大の時期に違いがみられた.1902年から1965年までの期間,下流側では拡大造林政策によって針葉樹人工林が拡大したのに対し,上流側では薪炭林,採草地といった里山型土地利用の拡大がみられた.さらに,1965年から1990年までの期間,上流側で一旦拡大した薪炭林および採草地が下流側に比べ遅い時期に人工林化された.すなわち,1902年以降,低標高の急傾斜地から優先的に人工林化が行われてきたと考えられた.上流部と下流部の土地利用変化の動向が異なった理由として,上流部と下流部における地形特性の違いや入植地の存在が考えられた.拡大造林政策や燃料革命,農業近代化などの社会的条件の変化の影響は標高,傾斜などの自然的立地条件によって異なっており,これが同じ流域内で異なるパターンの土地利用変化を引き起こした要因であると考えられた.

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