Abstract
まれな肺腫瘍の画像所見は明らかな例外を除いて非特異的で,通常の肺癌と同じような所見を示すものが多い.しかし画像上の特徴を知っておくと,まれな肺腫瘍の診断に結びつくことがある.低悪性度の腫瘍には,カルチノイドと,腺様嚢胞癌,粘表皮癌があり,いずれも比較的太い気管支から発生する.カルチノイドは,境界明瞭で造影CTでよく造影され,腺様嚢胞癌は気管・気管支粘膜下に沿って進展する形状を示す.良性腫瘍としては,過誤腫と硬化性肺細胞腫(かつての硬化性血管腫)の頻度が多く,いずれも境界明瞭で辺縁平滑な孤立性結節としてみられる.結節内の脂肪やポップコーン状石灰化は,過誤腫の診断に有効である.MALTリンパ腫は,孤立性または多発する境界不鮮明でエアブロンコグラムを有する結節で,時に限局性のコンソリデーションとしてもみられ,リンパ節腫大は伴わない.一方,びまん性大細胞性B細胞性リンパ腫は,充実性の結節または腫瘤で肺癌に酷似しており,リンパ節の腫大を伴うことが多い.肺原発の肉腫は非常にまれであるが,通常,肺癌に似た大きな腫瘤としてみられる.特徴的な画像所見を示す肉腫に,肺動脈内膜肉腫がある.
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