Abstract

皮粉によるクロムの吸着性に及ぼす有機酸基の影響を試験するために,予備的に,全クロム吸着量および陰陽両荷電クロムの吸着量に及ぼすpHと鞣製時間(1および4時間)の影響を,グルコース還元液を用いて試験した.ついでSO2還元液に,酢酸ソーダ,修酸ソーダ,酒石酸ソーダおよびクエン酸ソーダを加えて熟成し,グルコース還元液とほぼ同量のマスク化クロムを生成させた供試鞣液を用意した.それらと,義酸ソーダ添加SO2還元液,SO2還元液およびグルコース還元液,計7種の供試液を用いて,あらかじめpHを4.0,Cr濃度を0.5%に調整した各液40ccで,処理皮粉2gを4時間振盪,鞣製した.鞣製前後のクロム液についてイオン交換分析を行ない,荷電の異なるクロム塩の吸着量を算出し,特にアニオン•クロムの利用率から,クロム塩の吸着性に及ぼす配位有機酸基の影響について検した結果を取りまとめると,次のとおりである.1. 全クロム吸着量は,pH4.0で鞣製した場合が最も多かつた.アニオン•クロムは鞣製pHが低いほど,またカチオン•クロムはpHが高いほど,多く吸着された.2. アニオン•クロムは鞣製開始後,優先的に吸着された.3. 全クロム吸着量は,有機酸塩の種類と量によつて変わるが,一般に有機酸塩を加えると,カチオンクムの吸着は阻害されて,全クロム吸着量中アニオン•クロムの占める比率が高くなつた.4. カチオン•クロムの吸着利用率は,有機酸塩によつて低下する傾向を示した.5. アニオン•クロムでは,有機酸基の配位によつて,吸着性に顯著な変化を示さなかつた.またアルカリに対する安定性の異なるクロム塩の利用率も,ほとんど変わらなかつた.

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