Abstract

世界的な金融や文化の中心都市であるニューヨーク市は、脱工業化時代の近年、製造業維持 (IR)という考え方を反映した土地利用規制システムを導入した。IRは、民間団体であるNew York City Industrial Retention Network (通称NYIRN)という団体により推進されたが、その先進的な主張に反して、都市計画・政策分野ではあまり研究がなされていない。本論文ではNYIRNの活動に着目し、その設立背景、構成員、活動や主張、その成果を明らかにする。NY市は長年、工業地域を住宅等の都市的用途への転換を推進してきたが、都心回帰による旺盛な不動産需要により、工業地域で許可された混在状態が、市場原理により製造業の追い出し(ジェントリフィケーション)へとつながる構造を解明し、IRを土地利用政策で解決することを提言した。結果として市はゾーニングのインセンティブ制度を使った製造業用スペースの整備手法やホテルやセルフストレージなどの競合用途の立地規制手法を導入し、NYIRNは一定の影響力を市に与えた。

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