Abstract

界面活性剤の廃水処理は水質保全の立場から地球規模で重要な課題である。微生物を用いた活性汚泥法による生分解が広く行われているが, 界面活性剤の中で陽イオン系界面活性剤は生分解が困難で, 深刻な環境汚染を引き起こしている。このためn-型半導体二酸化チタン触媒を用いた光酸化分解がもっとも有効な方法の一つである。界面活性剤は, TiO2微粒子の不均-分散系中で光触媒的に分解し, 数段階の酸化過程を経てCO2ガスへ無機i化される。光触媒酸化の原理, 酸化反応の経時変化や光酸化中間生成物の定性や定量の結果についてまとめた。界面活性剤の化学構造に対する光分解メカニズムを詳細に解説した。光触媒による分解速度は, 種々の実験条件に大きく支配される。すなわち, (i) 光の波長 (水銀ランプ・キセノンランプ・太陽光類似ランプ・太陽光照射), (ii) 見掛上の量子効率, (iii) TiO2微粒子の粒子サイズまたは表面積, (iv) TiO2結晶系 (アナターゼやルチル) または貴金属担時触媒, (v) 基質濃度と化学構造, (vi) 溶存酸素量, (vii) TiO2の使用量, (viii) TiO2微粒子表面への吸着 (ζ電位) および (ix) pH依存性の諸因子がある。界面活性剤の種類に対する光照射TiO2表面への吸着や光分解速度は陰イオン系, 非イオン系, 陽イオン系界面活性剤の順に低下する。界面活性剤の官能基に関しては, 芳香環, オキシエチレン基, アルキル基の順に遅くなる。従って, 芳香環を有する活性剤はアルキル基のみを有する活性剤より光分解が容易である。さらに, 界面活性剤中の親水基は, それらの疎水基と比較して急速に分解が進行する。

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