Abstract

絶食後の再給餌飼料の形状や栄養価が腸管絨毛の回復に及ぼす影響について調べるために,白色レグホーン種雄鶏を42日齢から10日間絶食後,米ヌカ(CP: 16.8%, ME: 3,170kcal/kg)または中雛用配合飼料(CP: 18%, ME: 2,850kcal/kg)を3, 6, 24時間再給餌し,光学顕微鏡を用いて十二指腸絨毛の高さ,上皮細胞面積および陰窩における細胞分裂数の回復の違いを,さらに絨毛の高さの変化に伴う粘膜固有層の変化を比較検討した。また,走査型電子顕微鏡を用いて絨毛頂部表層の変化についても比較検討した。3および6時間再給餌では,絶食により顕著に低下した絨毛高,細胞面積および細胞分裂数は米ヌカ再給餌の方が中雛用配合飼料給与よりも迅速な回復を示した。固有層の変化については,絶食処理では固有層の幅が広くなり,固有層構成組織成分が粗に散在していたが,再給餌により固有層の幅が米ヌカおよび中雛用配合飼料再給餌とも再び狭くなった。両者の比較では米ヌカ再給餌における固有層の幅の方がやや狭いが,固有層中の組織成分の回復については中雛用配合飼料再給餌の方が幾分活発であった。絨毛表面についても,絶食の滑らかな絨毛表面は米ヌカ再給餌の方が顕著な細胞隆起を示した。24時間再給餌では,逆に中雛用配合飼料再給餌の方が絨毛高,細胞面積および細胞分裂数の全てにおいて顕著な回復を示した。米ヌカ再給餌の固有層の幅は再び広がり,固有層中の組織成分の増殖も見られず,特に平滑筋繊維が未発達であった。中雛用配合飼料再給餌の固有層は狭く,組織成分の増殖がみられ,特に平滑筋繊維の発達が顕著で,絨毛頂部からの上皮細胞の脱落像も観察された。絨毛表面についても,中雛用配合飼料再給餌の方がより活発な細胞の隆起や細胞塊の隆起を示した。この様な結果から絶食後の絨毛の初期回復には,給与飼料の栄養価よりもむしろ粉状飼料のような摂食後速やかに消化•吸収されやすい形状の方が大きく関与し,その後の完全な腸管粘膜の回復には,栄養価の高い,バランスのとれた飼料を必要とするものと考えられる。

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