MODIS-GRVI時系列データによる常緑針葉樹林の秋季・冬季の植物季節と成長期間の推定

Abstract

本研究ではMODIS-MCD43データから算出した2001年から2012年の植生指標GRVI（Green-red ratio vegetation index）の時系列データを元に，秋季から冬季にかけての常緑針葉樹林の植物季節および成長期間の推定を行った．解析対象地域は栃木県内の足尾山地の一部であり，スギとヒノキの人工林である．2種類の植物季節の時期，OGD（onset of GRVI decrease）とOGMin（onset of GRVI minimum）の12年間の平均値はそれぞれDOY 301（10月28日）とDOY 378（翌年の1月13日）であった．OGD，OGMinともに気温条件と統計的に有意な正の相関関係を持ち，MODIS-GRVIの時系列データから，常緑針葉樹林の秋季から冬季における植物季節が推定可能と考えられた．また成長期間について，12年間の平均値は287日間であり，1年間のうち，約80%の期間が該当していた．12年間における成長期間の日数の変化に関して，成長期間の始まりであるOGI（onset of GRVI increase）の時期の変化よりも，成長期間の終わりを示すOGMinの変化の影響が大きいことが示された．