Abstract

症例は72歳,男性.多発肺転移を伴う再発大腸癌に対するmFOLFOX6療法を施行中に突然の呼吸困難が出現した.心電図では,V1-4で異常Q波とV3-5でSTの上昇およびT波の陰転化を認めた.心エコーでは,心尖部は広範囲でakinesisを呈し左室内腔の拡大を認め,左室駆出率は35%と著明に低下していた.たこつぼ様の形態を呈しており,たこつぼ型心筋症と診断した.利尿剤の投与で呼吸困難は改善し,発症後9日目の心エコーでは,心尖部の壁運動の改善により左室駆出率は50%と上昇した.近年,手術が誘因となり発症したたこつぼ型心筋症の報告例は散見されるが,化学療法施行中にたこつぼ型心筋症が発症した報告例は自験例を含め13例とまれであった.しかしながら,近年ますます積極的な化学療法が臨床に導入されつつある現状に鑑みると,化学療法の有害事象の一つとして,たこつぼ型心筋症を念頭に置くことが重要であると考えられた.

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