Abstract

塩酸アザセトロンの代謝物の排泄率における性差および種差の原因を明らかにする目的で,雌雄ラットおよび雄イヌの肝ミクロソームを用いてin vitro代謝試験を行い,各代謝反応に関与している酵素を明らかにするとともに,酵素活性を雌雄ラットと雄イヌで比較した.各代謝反応の進行にはNADPHが必要であった.イヌにおける窒素原子の酸化活性は,反応液のpHを7.4から8.5にすると著しく増加したが,加熱した酵素液を用いると著しく減少した.また,酸化活性を,メチマゾール(MTZ)が阻害したが,メチラポンはほとんど阻害しなかった.これらの結果は,イヌでは窒素原子の酸化反応をフラビン含有モノオキシゲナーゼ(FMO)が触媒していることを示している.ラットにおける窒素原子の酸化活性は,pHを7.4から8.5にすると著しく増加したが,加熱した酵素液を用いても40%以上の酸化活性が残存した.また,MTZ,メチラポンおよびSKF-525Aは,酸化活性を中程度に阻害した.これらの結果は,ラットでは,FMOとP-450が窒素原子の酸化反応に同程度関与していることを示している.N-脱メチル化活性およびM1の水酸化活性は,加熱した酵素液を用いてもほとんど減少しなかった.さらにこれらの活性をSKF-525Aおよびメチラポンは強く阻害した.したがって,P-450が,N-脱メチル化反応およびM1の水酸化反応を触媒している可能性が高い.続いて,アザセトロソの各代謝反応の肝臓での固有クリアラソス(CLint)を比較した。アザセトロンのN-脱メチル化反応のCLintは雄ラットと雄イヌで大きな差異がないので,この反応が種差の原因ではない.雄イヌでは,雌雄ラットと比べて窒素原子の酸化反応およびベンゼン環の水酸化反応のCLintが大きいので,これが排泄率における種差の原因である可能性が高い.また,雄ラットでは,雌ラットと比べ,アザセトロンのN-脱メチル化反応のCLintが大きいので,これが排泄率における性差の原因である可能性が高い.

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