Abstract

ヒト下垂体前葉および異所性ACTH産生腫瘍における免疫学的β-MSHの検討を,ゲル〓過法に加えて等電点電気泳動法を用いて行なつた.ヒト下垂体前葉3例と異所性ACTH産生腫瘍5例の組織を対象とし,抽出は沸騰水法にて行なつた.測定にはβ-MSHとACTHのradioimmunoassayを用いた.ゲル〓過は, Sephadex G-50 (fine)カラムを用いて行ない,得られたγ-LPHおよびβ-MSHの分画について等電点電気泳動を行なつた.ヒト下垂体前葉のゲル〓過では, 3例ともにβ-LPHとγ-LPHに相当する分画がみられたのに対し,腫瘍5例中4例ではβ-LPH分画はほとんどみられず, γ-LPH分画の大きなピークを認めたことより,腫瘍でのγ-LPH優位を占めすと考えられた.これらγ-LPH分画は,等電点電気泳動を行なうと,下垂体および腫瘍ともにほとんど単一のピークであり,その等電点はいずれも同じpH4.5であつた.一方,腫瘍のゲル〓過でのみ認められたβ-MSH分画は,腫瘍によりその大きさが異なつており, 1-22βh-MSHと1-18βp-MSHに相当する2種類が認められた. 1-22βh-MSHに相当するものの等電点は, pH7.0で, 1-18βp-MSHに相当するものの等電点は, PH5.5であつた.以上のように,ヒト下垂体前葉および腫瘍における免疫学的β-MSH活性のほとんどが, LPHの状態で存在し, γ-LPHに関しては,その大さと等電点から,下垂体と腫瘍との間に差がないことを明らかにした.

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