Klebsiella pneumoniaeによる肝膿瘍から敗血症性ショックに至り高病原性K. pneumoniae感染症が疑われた大酒家の1例(A case of a heavy drinker with septic shock due to liver abscess caused by Klebsiella pneumoniae)

Abstract

要旨高血圧症以外は既往なくADLの自立した77歳の男性。搬送当日，朝まで通常通りの生活をしていたが，同日夕刻にトイレ内で転倒し呼吸苦を訴えた。救急隊接触時から当院搬送までにショックバイタルとなり人工呼吸器や昇圧剤を使用して全身治療を開始した。精査の結果肝膿瘍による敗血症性ショックと診断し抗菌薬治療と速やかな肝膿瘍ドレナージを施行した。膿瘍培養と血液培養からはKlebsiella pneumoniae（K. pneumoniae）が検出され，血液寒天培地のコロニーからのstring testが陽性となりhypermucoviscosity phenotypeのK. pneumoniaeによる肝膿瘍と判断し，高病原性K. pneumoniae感染症（hypervirulent K. pneumoniae: hvKp）として全身検索を含めた対応をとった。基礎疾患のない患者が急性経過でショック状態になる疾患として，近年アジアや本邦で報告が増えるhvKp感染症を鑑別に挙げる必要があると考えられ，当院で経験した症例を報告する。