Abstract

本研究は,トリプトファン(Trp),インドールピルビン酸(IPA)およびインドール酢酸(IAA)を基質としてルーメン内のプロトゾア(P),バクテリア(B)およびそれらの混合微生物(BP)の懸濁液にこよる上記の化合物の代謝をin vitroで検討することを目的とした.ルーメン微生物は,1日に2回アルファルファキューブと濃厚飼料を給与しているフィスチュラ装着山羊から採取した.12時間培養後,P懸濁液ではIPAから多量のTrpがつくられ,培地中に蓄積したが,IAAからはTrpはつくられなかった.BおよびBP懸濁液でもTrpの合成は起っているはずであるが,これらの系では微生物の増殖にそれが使われたためか,培地中には蓄積しなかった.BおよびBP懸濁液ではTrpおよびIPAから多量のIAAがつくられたが,P懸濁液ではIAAはあまりつくられなかった.Trpからのスカトール(Skt)の生成は,BおよびP懸濁液ではほとんどあるいは全くなかったにもかかわらず,BP懸濁液では添加したTrpの31.9%に相当するSktが生成された.BおよびBP懸濁液ではIAAからも多くのSktが生成されたが,P懸濁液では全く生成されなかった,IPAまたはその未同定誘導体は,BP懸濁液におけるSkt生成の調節に関与することが示された.プロトゾアによるIPAからのTrp合成との関連から,Sktの生成におけるバクテリアとプロトゾアの相互関係について考察した.インドールの生成は,BおよびBP懸濁液よりもP懸濁液の方が高い傾向にあった.

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