Impact of Hemodialysis on Left Ventricular Function in Patients With Hemodialysis: A Study Using 3-Dimensional Speckle Tracking Echocardiography

Abstract

透析患者では左室の圧・容量負荷により左室リモデリングが進行し，心不全を引き起こす可能性がある。心内膜及び外膜の斜走筋の収縮によるtorsion（左室長軸で補正した心筋のねじれ）が左室駆出率（LVEF）に関与しているといわれているが，透析患者での検討はなされていない。我々は，透析患者において左室拡大と左室torsionのLVEFに及ぼす影響に関し，3次元スペックルトラッキング心エコー（3D-STE）を用いて検討し，健常者と比較した。 心内膜側と外膜側の2方向（longitudinal, circumferential）のストレイン（ひずみ）及びLV torsionを76例の透析患者と22例の健常者で3D-STEを用い測定した。透析患者は拡張末期容積70ml/m2以上（左室拡大あり）と未満（左室拡大なし）の2群に分類した。透析患者全例では心筋重量と容積は健常者と比べ増加していたが，LVEF，ストレイン，torsionは健常者と比べ有意差はなかった。一方，左室拡大を伴う透析患者では，LVEFは健常者及び左室拡大を伴わない患者と比べ有意に低下し，心外膜側の長軸方向のストレインと外膜側のtorsionも低下していた。LV torsionとLVEF及びtorsionと拡張末期容積は有意な相関を認めた。 左室拡大を伴う透析患者では，外膜斜走筋の障害によりLV torsionおよびLVEFが低下していた。透析患者では，LVEFの低下した心不全を予防するためには，左室容量のコントロールが重要であることが示唆された。