Abstract

症例は46歳,男性.16歳時に家族性大腸腺腫症に対し,大腸全摘術および回腸嚢肛門吻合術を施行された.術後の約10年間は経過観察をされていたが,その後の通院歴はなかった.術後30年目に全身倦怠感および貧血のため近医を受診したところ,下部消化管内視鏡検査で回腸嚢に多発ポリープと潰瘍を伴う隆起性病変があり,生検で後者は高分化管状腺癌の診断を得た.回腸嚢多発腺腫と回腸嚢癌に対して,腹腔鏡下回腸嚢肛門切除術および回腸人工肛門造設術を施行した.切除標本の病理学的検査では回腸嚢に限局する多数の腺腫と2型進行癌に加え,腺腫内癌を2カ所に認めた.家族性大腸腺腫症術後では消化管に対する発癌のために空腸・回腸を含め諸臓器のサーベイランスの必要性が示されている.回腸嚢に対しても定期的な内視鏡検査によるサーベイランスが必須と思われた.

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