Abstract
アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARBs)は血清尿酸値を変動させるが,その影響は誘導体間で異なっている.ARBsによる尿酸値変動機構を解明するため,尿酸排泄及び尿酸生合成に与えるARBsの影響を理解することは重要である. ARBsの中でもロサルタン,プラトサルタンは尿酸再吸収トランスポーターURAT1に対し,阻害及び促進作用を示し,他のARBs(オルメサルタン,カンデサルタン,テルミサルタン,バルサルタン)は阻害あるいは促進作用のいずれか一方を示す.また尿酸分泌トランスポーターOAT3を阻害する可能性も示唆されている.雄性 Sprague-Dawley(SD)ラットの腎皮質より調製した刷子縁膜小胞を用いた検討より,ARBsは近位尿細管細胞の管腔側からの尿酸輸送を変動させることが推察され,雄性SDラットを用いたin vivo試験より,ARBsは尿中尿酸排泄に影響を与え,血清尿酸値を変動させることが示唆されている.またin vitro試験において,キサンチンオキシダーゼによる尿酸生成にARBsは作用しないことより,ABRsは尿酸生合成に影響を与えないと考えられる.これらの結果により,ARBsは腎臓の尿酸排泄を変動させ,血清尿酸値に影響を及ぼすことが推察された.したがって,ARBsが引き起こす腎臓の尿酸トランスポーターの活性変動が,腎臓での尿酸排泄,さらに血清尿酸値に影響を与えていることが考えられ,ARBs誘導体間での尿酸値変動の違いは,腎臓のURAT1, OAT3を中心とした尿酸トランスポーターに対するARBsの作用の違いに起因することが示唆される.
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