Abstract

誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)で海水中ng L-1レベルのCdを定量する際に問題となるMoOの干渉を低減するために,キレート樹脂濃縮分離法におけるMoの選択的除去法を確立した.イミノ二酢酸を官能基に有するキレート樹脂固相カラムを使用し,海水試料に容積比で過酸化水素を2% 添加することで,濃縮液中のMo濃度を0.1 μg L-1以下に低減することができた.その結果,ICP-MSによるCdの分析においてMoOによる多原子イオン干渉を完全に除去することが可能となった.本法を用いてpH 5.0において海水試料の25倍濃縮を実施した場合の添加回収率は98.6±1.0%(n=4),分析検出限界は0.06 ng L-1であり,非汚染海域のCdの分析に十分適用可能なレベルであった.また,Fe, Ni, Cu, Zn, Pb, 希土類元素等の同時濃縮も可能であることが分かった.本法の有効性は,National Research Council Canada(NRCC)より頒布されている海水認証標準物質の分析により確認した.また,実際試料としてサンゴ礁海域の海水試料の分析に適用し,数ng L-1レベルのCdを精度よく定量することができた.

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