Abstract

アフリカ稲 (Oryza glaberrima Steud.) の浮稲30品種, 普通稲12品種を用い, 収穫適期における脱粒難易強度 (籾と小枝梗の間の抗張強度と抗曲強度) を測定するとともに, 籾離脱部位の解剖形態的特性について調査した。その結果, 浮稲は普通稲より脱粒性が強く, 抗張強度と抗曲強度の相互関係を表す回帰式は, 両稲間で異なることがみられた。しかしながら, 浮稲, 普通稲ともに大部分の品種の籾離脱部位にはアジア稲にみられるのと同じような離層が形成されており, その離層は収穫期までにほぼ完全に崩壊したが, 一部の品種では離層の形成が不完全であった。後者はアジア稲にはみられないタイプの離層で, このような離層を有する品種では抗張強度および抗曲強度が強くsupporting zone (支持帯) の直径や厚壁組織の厚さも大きかった。ところが, 日本の水稲品種の一部にみられるような離層の形成が認められない品種は, アフリカ稲には見出されなかった。なお, アフリカ稲では浮稲, 普通稲ともに抗張強度と抗曲強度は離層が崩壊した部位に残るsupporting zoneの直径や厚壁組織の厚さとの間に, それぞれ0.1%水準で高い正の相関関係がみられた。以上の結果から, アフリカ稲の浮稲が脱粒し易い原因は, 完全な離層を有する品種が多く, supporting zoneの直径や厚壁組織の厚さなどが小さいためであろうと考えられた。

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