Abstract

要旨High flow nasal cannula(HFNC)療法は様々な医療場面での使用が増加しているが,HFNCを用いた施設間搬送の報告は少ない。これまで当院では,HFNCシステムへの酸素・混合ガス供給とドクターカーの電源容量の問題によりHFNC呼吸補助下の施設間陸路搬送が実施できなかった。しかし,新たなHFNCシステムの導入と,ドクターカーの電源容量増加と補助電源の確保により,HFNCを用いた施設間搬送が可能となった。今回,我々はHFNC呼吸補助下に施設間陸路搬送した症例を経験したので報告する。症例は11か月の男児。Respiratory syncytial virus(RSV)細気管支炎による急性呼吸不全のため当院へ転院し,pediatric intensive care unit(PICU)でHFNC療法が導入された。その後症状が軽快しHFNC呼吸補助下に医療機関へ転院搬送となった。搬送中,呼吸状態の悪化や重篤な副作用を認めず,安全に搬送が行われた。搬送にHFNCを用いる場合,デバイスによっては呼吸器設定に限界があること,屋外使用時はデバイスへの外気温の影響を考慮すること,および複数の医療機器を同時に使用する場合の総電源容量と搬送車両の電源容量を把握するなど留意すべき点がある。今後,症例を蓄積し施設間搬送におけるHFNC療法の安全性と有効性を評価する必要がある。

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