Abstract

日本における持続的な森林管理の課題の一つとして,小規模分散的な所有構造が挙げられるが,グループでの森林認証の取得など,森林所有者による新たな連携も現れ始めた。しかし,そのグループ形態は地域ごとに多様であり,森林管理の集約化および全国的な展開へとは至っていない。本稿ではグループ認証の先進地域であるスウェーデン,フィンランド,ドイツを対象とした現地調査および資料分析を実施し,グループ認証の取得構造を明らかにすることを通じて,各国の中小規模森林所有者のグループ形態の類型を提示することを目的とした。その結果,(1)スウェーデン;森林所有者組合や林産企業などの所有者への森林管理サービスを担う組織による自由競争的なグループ(個別組織型),(2)フィンランド;全国に存在する森林管理組合を基盤とした地域グループ(全国組織型),(3)ドイツ;州有林,共有林,個人有林などの森林所有者が参加する州単位での地域グループ(地域組織型)というように,3国とも自国の森林管理に適したグループ形成を標準化し,認証規格の順守とコストの軽減による持続的かつ効率的な認証システムを戦略的に選択・構築してきたことが明らかになった。

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