Abstract

集中治療が必要な重症患者に対する強化インスリン療法が報告されて以来, 脳・脊髄保護における血糖管理に注目が集まっている. しかし, 脳・脊髄保護における血糖管理の重要性は以前から認識されており, その研究には30年の歴史がある. 今までの動物実験の結果からは, 虚血直前の高血糖が神経学的予後を増悪させるということは間違いないと思われる. 高血糖の程度に関しては, 軽度の高血糖 (正常範囲より40mg/dLの上昇) でも予後を増悪させることが報告されている. したがって, 虚血前の血糖コントロールは厳密に行うべきであると思われる. しかし, 脳梗塞患者や頭部外傷患者にも厳密な血糖コントロールが有益かどうかは明らかではない. このような患者では, 著しい高血糖は避けるべきであるが, 厳密な血糖コントロールは脳障害を増悪することが明らかな低血糖を生じる危険もあるので, 現段階では厳密な血糖コントロールに固執しない方がよいと思われる.

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