Abstract

紙パルプ工場排水には様々な化学物質が含まれ,工程内で非意図的に発生するものも含め,その種類と量が不明なものが多い。これまでAOXをはじめとする有機塩素化合物など発生源が比較的明瞭な化学物質について分析を行っていたが,対象物質は排水に含まれる有機分のごく一部に過ぎないので,より多くの化学物質を効率よく分析する方法が望まれていた。最近,食品中に残留する農薬についてポジティブリスト制が施行され,多くの成分を簡便,迅速に分析する方法が提案されている。そこで,GCMS向けに開発された約800種類の環境関連物質を登録した多成分一斉分析システムを導入した。木材由来成分など紙パルプ工場特有の化学物質16種類も追加登録し,紙パルプ工場の総合排水中に含まれる化学物質の分析を試みた。その結果,データベースに登録されている化学物質がすべての総合排水から数十種類検出された。しかし,いずれも極低濃度(ppbオーダー)で,環境省,厚生労働省で定められている法的な規制値や国内外の文献値と比較しても全く問題はなかった。

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