Abstract

今回われわれはG-CSF産生腫瘍と診断した下顎歯肉扁平上皮癌の1例を経験したので報告する。患者は87歳の女性。約6か月前より右側下顎歯肉の腫瘤形成を認めるも放置していた。その後,腫瘤が徐々に増大してきたため精査を希望し当科を受診した。右側下顎歯肉扁平上皮癌の診断下,手術を施行した。術後2か月目に胸部X線写真とPET-CTにて肺転移を認め,同時に急激な白血球増加症を認めた。術後3か月目に肺転移腫瘍による呼吸不全にて死亡した。術後,肺転移巣の組織検査の結果,肺転移巣は免疫組織学的にG-CSF陽性であった。これらの所見から,歯肉癌の肺転移巣がG-CSFを産生し,白血球増殖症をひきおこしたことが示唆された。

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