Abstract

筆者らはフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)イメージング法を用いた高分子中に分散するマイクロオーダの大きさの添加物・フィラーの分散性の評価法を提案した.提案法は,二次元平面で空間的に濃度分布を有するように添加剤・フィラーが分散した高分子コンポジットから,FT-IRの高分解能測定で空間的位置情報をもった吸収スペクトルデータを取得し,そのデータに窓幅の異なる複数の平均化フィルタをかけ,窓枠に応じた変動係数を求め,その変動係数の窓幅依存性から添加剤やフィラーの高分子中での分散性を評価するものである.提案法を現在,用途拡大が期待されているセルロースナノファイバー(CNF)とポリプロピレン(PP)のナノコンポジットに適用し,CNFの分散性を評価した.PP中のCNFの分散性は,CNFを疎水変性することによって向上するが,それだけでなく,混練機のクリアランスの狭いセグメントセルを使用した方が分散性がよいこと,および分散性と力学試験結果は相関があることを確認した.また,成形機を使用して作成した成形品の評価から,シリンダー回転数よりもシリンダー温度の方が本研究使用のCNF分散には大きく影響することがわかった.このように可視化だけでは評価しづらかったCNFのPP中での明確な分散比較が可能となり,本手法の有効性が確認できた.

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