Abstract
2009年1月25日に八方尾根無名沢においてスノーボーダー1名が重傷を負う雪崩事故が発生した.破断面における観測結果と周辺の積雪・雪崩に関する記録,同時期に広域で行った積雪観測データ等を基に雪崩発生の原因となった積雪不安定性とその形成過程および空間的な分布について検討した.雪崩の原因となった積雪不安定性をもたらしたのは厚さ約40cmの新雪-しまり雪によって構成されたスラブと雲粒の付着のない大型の板状結晶からなる厚さ2cmの降雪結晶弱層の組み合わせから成る積雪構造であった.弱層は22〜23日にかけての低気圧に伴う降雪によって広域に形成されたが,弱層形成後に晴れ間があり日射の影響を受ける斜面では弱層の強度が増加した.また,スラブは冬型降雪によって形成されており日本海側に限定されて形成された.このため,この不安定性は日本海側山岳地の高標高域で,尚且つ日射の影響を受けにくい斜面に限定的に存在したと推定された.また,他の弱層の観測事例から得られたデータも合わせて検討したところ,大型で雲粒の付着のない板状結晶によって形成された層においては,他の新雪層よりも長期間脆弱な状態が持続すると考えられた.
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