Abstract

要旨症例は21歳の男性,自殺目的に燃料用アルコール(メタノール76.6%含有)を飲用し,当院に救急搬送された。来院時,症状が軽微かつ検査値異常を認めないために緊急血液浄化療法の適応はないと判断し,fomepizoleの投与を行い入院となった。翌日,予測血中メタノール濃度が340mg/dLと異常高値であったが,その他の異常を認めなかったためにfomepizoleの投与のみを継続した。最終的に16日間,合計30回,本薬剤の投与を行い,合併症なく退院した。2015年1月よりアルコール脱水素酵素阻害薬であるfomepizoleのメタノール中毒・エチレングリコール中毒に対する使用が本邦でも保険適応となり,アルコール類中毒に対する標準的治療は大きく変化した。本薬剤のメタノール中毒への有効性は海外で広く認知されているが,従来用いられてきたエタノールによる解毒法と比較して医療費が非常に高額となり,その使用方法には依然として議論がある。今回我々は,fomepizole単独療法と血液浄化併用療法との比較を,患者管理の視点に加え,医療費の面からも検討した。その結果,個々の症例の血中メタノール濃度や患者状態,予測される治療期間に応じて2つの治療方法を使い分ける必要があり,血液浄化療法導入となる血中メタノール濃度の基準は50mg/dL程度であると考えられた。

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