Abstract

水稲の障害型冷害に強い施肥法を開発するため, 圃場試験において, 標準施肥に燐酸, 加里, 堆肥などを加えた基肥施肥法による耐冷性の変化と受光態勢との関係および通常年での深層追肥栽培法の耐冷性向上効果を検討した. (1) 標準施肥に燐酸6 kg/10 aや溶燐60 kg/10 a・珪酸カルシウム20 kg/10 aの加用は堆肥との組み合せで(多窒素条件)耐冷性向上に有効であった. すなわち, 燐酸の増施は低温下での多窒素の害作用を軽減する効果が認められた. 燐酸の増施は葉身窒素濃度の低下→LAIの減少を促し, これが, 「窒素増施→LAIの増加→畦間遮光率の増加→水稲および周辺温度の昇温阻害→不稔の増加」の経路で, 不稔軽減に作用するためと判断された. (2) 通常気象条件での深層追肥栽培水稲は, 葉面積に大差がなくても, 畦間遮光率が小さく, 受光態勢が良好で, 幼穂を包んでいる位置の葉鞘表面温度が高く推移した. また, 稲体窒素濃度は標準施肥栽培や多肥栽培より常に低く, 葉鞘+稈のC-N率は穂ばらみ期で標準施肥より低くなったが, それ以前は高く維持された. このような深層追肥栽培におけるイネの受光態勢の改善による稲体温度の上昇, 前歴期間におけるイネの低窒素・高澱粉の成分組成は, 穂ばらみ期の耐冷性向上に寄与すると推察された.

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