Abstract

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 (EGPA) は気管支喘息, アレルギー性鼻炎や好酸球性副鼻腔炎が先行し, 好酸球増多を伴う血管炎を来す症候群であり, 発症機序は不明である. 当施設で好酸球性副鼻腔炎の術後に EGPA を発症した症例で, その予測因子を明らかにすることを目的に検討した. 2014年4月から2019年3月の5年間に好酸球性副鼻腔炎に手術を施行した症例を対象とした. EGPA の発症の有無で2群に分割し, 末梢血好酸球率, アレルギー疾患の合併, 鼻ポリープスコア, 副鼻腔 CT スコア, 鼻腔通気度検査, 嗅覚障害自覚症状, 嗅覚同定検査, 基準嗅力検査, 静脈性嗅覚検査の結果を比較検討した. 対象84例中3例に EGPA の発症を認めた. EGPA 群の末梢血好酸球率は平均20.6%で, 非 EGPA 群の9.2%よりも有意に高値であった. 術前と術後の CT スコアの差である CT 改善値は EGPA 群で低く, 術後の中鼻道ポリープのスコアも高値であった. また, EGPA 群は全例とも気管支喘息を合併しており, 好酸球性副鼻腔炎の重症群であった. 嗅覚検査では術前の嗅覚同定検査が EGPA 群で有意に正答数が多かった. 好酸球性副鼻腔炎において, 末梢血好酸球増多を認める症例, アレルギー疾患を合併して重症群に相当する症例や, 術後も CT や鼻ポリープの改善が乏しい症例では, 全身症状が出現して EGPA と診断される前の状態を見ている可能性があり, 注意を要する.

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