Abstract

我々の身体は多数の関節と筋肉を含む大自由度な非線形システムである.目標の動作を達成するために,中枢神経系は複雑な身体に適した運動指令を生成している.しかしながら,中枢神経系がどのように身体を制御しているかは未だ明らかでない.本解説では,身体運動制御に関わる仮説の一つであるモジュール仮説に焦点を当てる.モジュール仮説とは,中枢神経系は一つ一つの関節や筋肉を個別に制御しているのではなく,複数の関節・複数の筋肉のグループ(空間モジュール)に対して運動指令を生成する機構(時間モジュール)があるという仮説である.多数の先行研究において,筋活動データや関節角度データに対して次元圧縮手法(e.g., 主成分分析,非負値行列分解などの行列分解)が利用され,時空間モジュールが抽出されてきた.そして,空間モジュールや時間モジュールが課題毎にどのように調整されるかが明らかにされてきた.すなわち,1) 空間成分,2) 時間成分,3) 課題情報,という3つの要素が,2つの要素を議論するための行列分解手法を工夫することにより議論されてきた.本解説では,上記の3つの要素を解析するために,3つ以上の要素を同時に議論可能なテンソル分解が有効である可能性について議論する.

Full Text
Published version (Free)

Talk to us

Join us for a 30 min session where you can share your feedback and ask us any queries you have

Schedule a call