Abstract

作物の根の乾物重の測定精度におよぼす土壌の混入の影響を調べるために, ポット栽培した数種のイネ科作物の根を採取して洗浄し, そのサンプル中に混入した土壌の量を灰化法によって測定した. また, 根の洗浄法の違いが土壌の混入に及ぼす影響について検討を加えた。地上部をつけたままで洗浄した場合の根のサンプル中への土壌の混入率は, 登熟期の各作物で63.8%~13.7%, 平均32.8%(乾物重べース)と高い値を示した. また栄養生長期における根のサンプルへの土壌の混入率は5.6~14.3%, 平均9.0%であった. 以上のことより, 根を地上部につけたままの洗浄方法では根のサンプル中へのかなりの土壌の混入が避けられないことが明らかとなった. また土壌の混入率は洗浄するサンプルの根量に左右されることが示唆された. 次に, 洗浄方法について検討した結果, 地上部を切り離して根を短く(2.5cm)切断して洗浄すると混入率が5%以下にまで低下した. しかし根の損失が約33%増加した. 以上より, ポット実験の場合地上部から切り離したのち, 根を短く切断して洗浄し, 更に洗浄による根の損失を防止すれば土壌の混入による誤差を5%程度のレベルにまで抑えることが出来ると推察した. しかし土壌の混入の程度は, 土壌の性質や生育条件などによって変化するので, 実際には根の灰化処理を行ってこの点をチェックする必要があると考える.

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