Abstract

雇用の流動化と未婚化・晩婚化が相伴って進むなかで,社会経済的地位およびその変化は結婚への移行にいかに影響しているのか.本稿は,社会経済的地位として従来着目されてきた雇用形態だけでなく職種と企業規模を取り上げ,さらにそれらの変化の経歴が結婚への移行に与える効果を明らかにする.1966–80年出生コーホートの経歴データを用いた分析により,以下の結果を得た.男女とも,一貫して非正規雇用で就業することではじめて結婚に対する負の効果が顕在化する.女性は雇用形態のほか専門職であることが結婚を促す.男性は雇用形態のほか大企業での勤務が結婚を促す.以上の結果は,職業経歴によって測られる安定性が将来の不確実性を軽減する役割を果たしていることを示唆する.雇用の流動化をはじめとする不確実性の増大のなかにあって,職業経歴を利用した時間的視座の導入は,人びとが結婚へと至る過程をより精緻に捉えることを可能とする.

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