Abstract

登熟中のラッカセイ子葉柔細胞における貯蔵物質蓄積の様相を, 走査電子顕微鏡と透過電子顕微鏡によって観察するとともに, 脂質体の構造保持のための試料前処理方法についての検討も行った. ラッカセイ子葉柔細胞における貯蔵物質の蓄積は, 脂質体の形成によって開始された. 脂質体の形成は登熟初期から認められ, 登熟中期になると急速に数を増した. 脂質体の形成に伴って, 細胞質中には網目状の発達した粗面小胞体 (RER) が認められた. RER は互いに融合・連結し, 立体的な網目状構造を形成した. また, 網目状に発達した RER の一部には所々で袋状構造が認められた. 袋状構造の大きさは2~4×1~2 μm であり, 表面には小さな顆粒の形成が観察された. 顆粒の形成は RER の末端部にも認められた. この顆粒は脂質体の形成とともに数量を増したことから, 形成初期の脂質体であると推定された. タンパク質は登熟中期から液胞中に蓄積し, この液胞が分割した後にタンパク顆粒を形成した. ラッカセイで観察されたアミロプラストはソラマメに比べて小型であった. 以上の観察結果から, ラッカセイ子葉柔細胞における貯蔵物質の蓄積は脂質体の形成による脂質の蓄積を中心に進行し, 脂質体の形成には発達した RER が密接に関与することが明らかになった. 脂質保存のための前処理には, 固定液中への塩化カルシウムの添加が有効であった.

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