Abstract

サトイモ球茎のプラスチドーアミロプラスト系におけるデンプンの蓄積過程とその微細構造的特徴を電子顕微鏡で観察した.走査電子顕微鏡観察によると, 肥大初期の球茎の髄部重柔細胞には, 伸長しているプラスチドやくびれ増殖中のプラスチドが数多く認められた.球茎の肥大に伴い, プラスチドは内部の大部分に複粒デンプンを含んでアミロプラスト化した.アミロプラストは部分的に肥大しながら次第に大型化し, その内部には小型で丸みのあるデンプン粒が集合して認められた.収穫期の球茎では, 長径20 μm前後のアミロプラストが数多く存在した.最大の長径40 μmのアミロプラストは, 推定4, 000個前後のデンプン粒を含有していた.個々のデンプン粒は極めて小さく, 直径1~3 μmであった.透過電子顕微鏡観察によると, プラスチド内部にはデンプン粒とデンプン粒周囲の低電子密度の部分から成る「デンプン領域」が形成された.ストロマはアミロプラスト内の周辺部に局在し, 収穫期に至るまでデンプン粒の形成はストロマ中で行われていた.これらのことから, サトイモのプラスチドーアミロプラスト系では, 個々のデンプン粒の全周囲がデンプン合成の「場」として機能していると推定された.また, アミロプラストは, アミロプラスト内周辺部のストロマにおいて継続的に新たなデンプン粒を形成し, 極めて数多くのデンプン粒を蓄積することが明らかになった.

Full Text
Published version (Free)

Talk to us

Join us for a 30 min session where you can share your feedback and ask us any queries you have

Schedule a call