Abstract

開放型実験風洞を用い, 15 m/sまで7段階の風速の風を出穂後1, 7, 14, 21, 29, 36日のイネに1時間処理した。また同時に散水を伴う風雨処理も行い稔実と米質への影響を調査した。不稔および発育停止粒の発生は花期とくに出穂直後の風で多発した。降雨を伴う風ではこの障害は極く軽微であった。風による主な障害米は茶米と乳白米であり, 障害は12 m/sまで風速とともに増大した。茶米は出穂直後ほど発生が多いが, 乳白米は出穂後14~21日頃の風で増加した。これらの障害は出穂後29日以後次第に減少した。降雨を伴う風では障害米の発生は1/2程度に軽減され, 粒重の減少も軽微であった。もみの蒸散速度は出穂直後に最も高く, 7日目頃やや減少したのち登熟盛期には再び高まり以後成熟期まで減少を続けた。また蒸散速度は風速の増大に伴い初期ほど顕著に高まった。もみの蒸散速度の高い時期の風は障害を増加させることから, 風害は水分要求度の高い時期の穂の一時的な水分ストレスが引き金となって起こるものと考えられた。降雨はもみ擦れのような機械的損傷や穂の脱水を防止することにより, 障害を緩和する働きをすることが示唆された。

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