Abstract

人為的に建設された堤防が湿原生態系の物質循環に及ぼす影響について土壌理化学性及び微生物学性により評価することを目的として,北海道釧路湿原において野外調査及び実験を行い,以下の結果を得た。釧路湿原内に建設された堤防道路は湿原土壌および表面水の理化学性に影響していた。地表水中のCa, Mg, Si 濃度およびECが堤防から180 m付近まで増加していた。堤防の近傍では無機灰分および無機態リンの泥炭土壌への混入が認められた。堤防の近傍では,土壌中のセルラーゼ,キシロシダーゼやフォスファターゼなどの加水分解酵素活性が高まり,セルロース,木片など有機物分解速度が上昇した。湿原生態系における物質循環のこの様な変化は,植物への栄養供給などの変化を通して植生にも影響するであろう。また,土壌酵素活性は土壌の物質循環に直接かかわるものであり,湿原生態系の撹乱,富栄養化の指標としても活用できるものと思われる。

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