Abstract

カキ‘前川次郎’の加温ハウス栽培における最低気温の最適値を明らかにするため,1997~2001年にわたって,10~20℃の範囲で最低温度を変えて生育および果実品質を比較した.暖房開始は 1 月上旬にビニルフィルムを被覆した時点とし,暖房終了は外気の最低気温が暖房機の設定温度を超える時期までとした.被覆ビニルフィルムは,6 月上旬~7 月上旬に除去した.本試験の結果,最低温度は,発芽期および満開期の早晩に影響を及ぼすが,収穫果の品質にはほとんど影響しないと推察された.被覆開始から発芽期までおよび発芽期から満開期までの日数とそれらの期間の最低気温の平均値との関係を,いずれも二次回帰式で表した.これらの回帰式により,最低気温が,被覆開始から発芽期までは 16.5℃,発芽期から満開期までは 16.7℃のときに,それぞれその期間が最も短くなるとの解が得られた.しかし,最低気温がこれらの値からそれぞれ 3℃および 2℃上昇または低下しても,発芽期や満開期の遅延は1日以内であることから,暖房に要するコストを考慮すると,カキ‘前川次郎’のハウス栽培における最低温度は,被覆開始から発芽期までは 13.5℃とし,発芽期以降は 14.7℃とするのが適当であると判断された.

Full Text
Published version (Free)

Talk to us

Join us for a 30 min session where you can share your feedback and ask us any queries you have

Schedule a call