Abstract

1) イネクビボソハムシを殺虫剤の育苗箱施用法で防除する場合に必要な薬量を, 殺虫剤のイネおよび土壌中における消長と, イネに含まれる殺虫剤に対するイネクビボソハムシの反応の両面から解析して推定した.2) 供試した殺虫剤は, カルタップ粒剤, プロパホス粒剤およびPHC粒剤の3種である. この3剤はイネクビボソハムシに対していずれも有効で, 防除に必要な薬量は, 育苗箱1箱当りカルタップ粒剤は70g程度, プロパホス粒剤とPHC粒剤とは50g程度と推定された.3) 効果の発現は, 次のように進行すると推定された. 移植時にイネの株元に集中的に施用された薬剤の, 土壌中における減衰は緩慢であり, この薬剤がイネの根から継続的に吸収され, 茎葉に移行するが, 上記の施用量のとき茎葉中の各薬剤の濃度が越冬成虫のLC50値を越えている期間は施用後30~35日, 3齢幼虫のLC50値を越えている期間は施用後35~40日であった. この期間は, 越冬成虫が水田に侵入してから幼虫加害の最盛期を過ぎるまでで, 理論的に有効な薬量が茎葉に保持されていることになる. 施用した薬剤の持続期間は成虫の水田侵入期までで実用上十分な効果がえられること, および薬剤が葉身部に高濃度に移行するため, 幼虫の加害習性に有効に作用していることが, 効果の安定性に貢献していると考えられた.4) 殺虫剤の育苗箱施用法は, 水面施用法や茎葉散布法によるイネクビボソハムシの防除法にくらべて, (1) 必要薬量が少なく, (2) 処理作業が簡便で, (3) 効果が安定している利点があるが, 薬剤の施用時期が越冬成虫の出現期以前であるため, 発生量によって防除要否を決めにくい欠点がある.

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