Abstract
多孔性シートにグラフトした架橋高分子鎖にイミノ二酢酸(IDA)基を導入した。エポキシ基をもつモノマーとしてグリシジルメタクリレートおよび架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレートを多孔性シートに共グラフト重合し,引き続きイミノ二酢酸二ナトリウムによってエポキシ基を開環した。エチレングリコールジメタクリレートの仕込みモル分率を 1.0~6.0% の範囲で変えた。500 mg/L 塩化銅イオン溶液を,得られたキレート多孔性シートに滞留時間 10 秒で透過した。IDA 基密度 1.7 mmol/g である架橋型キレート多孔性シートの銅イオンの動的吸着容量は,非架橋型キレート多孔性シートのそれの 1.7 倍となった。この動的吸着容量の向上は,グラフト鎖の架橋によって,吸着した銅イオンが吸着量勾配にしたがってシート厚方向に拡散移動する現象を抑制するためである。架橋型キレート多孔性シートの動的吸着容量は,空間速度の増加とともに減少した。これは,細孔内での銅イオンの細孔半径方向の拡散移動時間が,多孔性シート内での銅イオン溶液の滞留時間と比較して無視できないことを示している。
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