Abstract

ジャガイモ塊茎の維管束の分布と連絡を, 連続切片を作製して光学顕微鏡で観察した. ストロン着生部から塊茎に入った維管束は皮層の外篩部, 維管束環の複並立維管束, 周辺髄の内篩部と分かれる. 皮層の外篩部と維管束環の維管束はいずれも周皮と平行な網状の分岐・連絡をもっており, 周辺髄の内篩部では目 (側芽) に向かう篩部と塊茎の中心方向に向かう篩部とが立体的な網状の連絡をもっている. 維管束環の外篩部と内篩部は, それぞれ皮層の外篩部および周辺髄の内篩部と, いずれも放射方向の連絡をもっている. 周辺髄は射出髄によって地上茎の島状の維管束に対応する房に区切られているが, これらの房は目の基部で互いに分離融合をしている. 急速肥大期の観察によると, 塊茎内各組織のデンプン密度は維管束の分布と関係があり, 皮層と周辺髄の篩部の周囲で特に高く, 維管束の分布しない中心髄では低いことが示された. このような維管束の分布と走向から, 塊茎肥大期における塊茎内での同化産物の転流経路を推定した. また, 塊茎内各組織の維管束の分布とデンプン蓄積の関係について検討した.

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