Abstract

ドブネズミとクマネズミにおける異なるマダニ寄生率,および御蔵島からの ミナミネズミマダニ Ixodes granulatus の分布とそのネズミ,イエネコ,ヒトへの刺咬事例の初記録.島嶼域 における移入ネズミ類とマダニの関係を評価した研究は比較的少ない.本研究では,伊豆諸島の御蔵島にお けるマダニとホストの関係を明らかにするために,51 頭のネズミ(ドブネズミ 29 頭,クマネズミ 22 頭) を捕獲し,これらから 56 頭のマダニを採集した.また,ノネコから 2 頭と島民から 1 頭のマダニを採集した. 種同定が可能であった 53 頭のマダニのすべてがミナミネズミマダニ Ixodes granulatus と同定され,御蔵島 において本種の初めての分布記録となった.興味深いことに,2 種のネズミの間でマダニの寄生率が異なり, ドブネズミが 44.8%(n = 29),クマネズミが 4.5%(n = 22)であった.この結果は,ネズミ類が優占する生 態系における宿主間の寄生率の違いや感染症伝播プロセスのメカニズムの解明に示唆を与えるであろう.ま た,本研究は伊豆諸島においてミナミネズミマダニがイエネコとヒトを刺咬した初めての報告になる.特に, ヒトの刺咬例としては私たちが知る限り日本で 2 例目となる.島嶼におけるマダニの基本的な情報について はまだ不足しており,今後のマダニ相の把握やマダニ媒介感染症の潜在的リスクの評価が求められる

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