Abstract

1) 聴覚障害者,特に感音難聴者の語音弁別能と障害部位の関係を明確にするために,聴覚障害者の持つ聴覚系の周波数特性の影響を可能な眼り除いて語音弁別能を評価する方法を示し,次いで本法の臨床応用を可能にするマイクロコンピュータシステムを作成した.2) まず,聴覚障害者の聴覚系の周波数特性を近似するディジタルフィルタを作成し,このフィルタを通した語音を聴力正常者に聴取させ,その実験結果からその周波数特性の聴覚系の持つ語音弁別能の正常基準値を導き出した.3) この正常基準値から算出される語音認知能係数(d)を用いて,実験Iの20の感音難聴例について,障害部位別に語音弁別能を評価すると,後迷路性難聴では内耳性難聴に比べ低いdを取る傾向があった.4) そこで症例を増して検討することにした.実験IIとして別の59感音難聴例についてマイクロコンピュータシステムを用いて,語音弁別能の正常基準値を推定し,これから語言認知能係数(d)を算出した.実験I,IIの感音難聴例計79例について検討したところ,後迷路性難聴の66%が-2未満のdをとり0以上の値を示したものが8%と,低いdを持つのに対し,内耳性難聴では,61%でdが0以上の値を取り,-2未満であったのは15%と,高いdを取る傾向を示した.5) この実験結果を感音難聴の細別診断に利用するためにX2検定を行うことにより,感音難聴者でdが-2未満であれば,後迷路障害の可能性が,0以上であれば内耳障害の可能性が有意に高いことがわかった。6) 実験IIIで,異聴傾向の分析の新しい試みとして,聴覚系の周波数特性の影響を除去して解析する方法を行い,内耳性難聴者では聴覚系の周波数特性に関連した異聴を示す傾向が強いが,後迷路性難聴では必ずしも一定の傾向は示さなかった.7) 実驗IVで,シャープカット型難聴の障害部位診断に本法を応用し,シャープカット型難聴の主病巣は内耳にある可能性が強いと結論した.

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