Abstract

水稲の生育に伴う根量の変化と, 根量と葉の量との生長相関を解析した. 総根長を分解して, (1次根数)×(平均1次根長)×("分枝係数"), あるいは(総1次根長)×("分枝係数")という積として表した. ここで "分枝係数" は, 総根長を総1次根長で除したもので, 1次根の分枝程度を表す係数である. 葉齢の増加に伴って, 平均1次根長と "分枝係数" は直線的に増加したが, 1次根数, 総1次根長および総根長は指数関数的に増加した. 生育に伴う総根量の増加に対しては, 1次根量の増加が大きく貢献しており, 1次根の分枝程度の増加は寄与度が小さいことが明らかにされた. 出葉転換期を境として生育期間を2分し, それぞれについて相対生長式: log (根量)=k・log (葉面積)+b を算出した. 相対生長係数kは, 出葉転換期の前では1未満であったが, 出葉転換期の後では1を越えていた. このことから, 出穂に至るまでの水稲においては, 出葉転換期付近を境界として, おそらく生育相の転換に対応して, 根と葉の生長相関関係が変化することが示唆された. このような生長相関の変化には, 根量についてみてみると, 1次根の分枝程度の変化よりも, 1次根量の変化の方が大きく関与している可能性が高いと推察された.

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